『運命の風』(Wind of Fate)第7.5話(外伝)へ戻る ページ: 1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 1ページ目D&D3.5edキャンペーン『Wind of fate』#8『運命の戦い』 イルザルシパル・ヴァレーでジェンナを救出してから10日。 敵の魔法により、フォールン・パラディンに堕ちてしまったジェンナは、パラディンの特殊能力を失ってしまっていた。 再びパラディンに復帰するには贖罪を行なわなければならない。 そのため、聖ナビアス教会のロベルト司祭にアトーンメント(贖罪)の呪文をかけてもらい、当面の間、教会で雑務をこなしている。 ジェンナが着ている服は、『運命の風』(Wind of Fate)第3話『確実なる一歩』の冒頭でラヴィリーナに卑猥なレザー・コスチュームを売りつけた洋服屋のエリザベス(ハーフエルフ、エキスパート)が用意したメイド服である。 (『Wind of fate』第3話『確実なる一歩』の冒頭参照) ロベルト司祭が、ジェンナの贖罪用作業着(翼の都合上、背中が大きく空いている物)をエリザベスに注文したところコレが仕上がってきてびっくりしたことは言うまでもない。 フィースも、最初に見た時は驚いた。 今まで、ジェンナがパラディンの服以外の衣装を着ているところを見たことがなかったからである。 ジェンナ「あ、あの・・・変でしょうか?」 フィース「・・・い、いや全然!断じて!絶対的に!」 そんなある日、エクルの村の近くが異常な寒波に見舞われているという知らせが来る。 エクルは元々寒い土地だが、今の季節はまだ暖かいはずなのである。 その件について聖ナビアス教会からフィースに調査の依頼が来た。 かくして、『ブレイブ・カルテット』はエクルに向かって出発するのだった。 ラヴィリーナ「プレーン・ヨーグルト出動よ!」 白猫アルト「ニャー(前回はちゃんと言えてたのに・・・わざとだね)」 ラヴィリーナ「えへへ、実は共通語ボキャブラリーの訓練になるかなあって思って」 白猫アルト「にゃー・・・(にゃるほど・・・)」 エクルの寒波に耐えるためには充分な防寒着や、エンデュア・エレメンツ(寒暑に耐える魔法)の呪文等が必要である。 ブレイブ・カルテット一行は全員、魔法アイテムのトラヴェル・クローク(旅の外套)を持っているので寒さに対してエンデュア・エレメンツ(寒暑防御)の魔法効果を得られる。 白猫アルト(使い魔)は、同じくエンデュア・エレメンツ(寒暑防御)の効果を持つラヴィリーナの腰布にくるまっている。 白猫アルト「にゃ〜(あ〜、快適)」 ―エクルの村― 道中はこれといった危険もなく、やがてエクルの村に着いた。 バンブル「うひゃあ、見るからに寒そうなところだなあ」 フィース「ああ、トラヴェル・クロークを身につけていなかったら寒さに耐えられないだろう」 アルウィン「この異常な寒波について、詳しい話を聞いてみよう」 村人に話を聞いたところ、寒波はティソルフ山脈から流れてくるらしい。 さっそく一行はティソルフ山脈を調査する事にした。 アルウィンとラヴィリーナがレンジャーの〈生存〉技能を駆使し、洞窟を発見する。 ラヴィリーナ「見て、この洞窟、入口がすごく大っきい」 アルウィン「いかにもあやしいな」 アルウィンはロング・ストライダー(健脚)の呪文を唱え、フィースは愛馬プラックに騎乗し、洞窟に入って行く。 中に入ってしばらく進むと、洞窟の奥からかすかな光が見える。 ―洞窟入り口付近― (サブシナリオ『偽りの痕跡』) 壁や床、天井に点在する燐光を放つキノコが、この場所をほのかに照らし出している。 通路は、前方で開けた場所に通じているようだ。 そんな中、誰かが放ったと思われる流れ矢が、床のファンガス(キノコ)の凝集塊に刺さっているのを発見する。 アルウィン「こんな所に矢が刺さっている・・・それもかなり新しい矢に見えるな」 その近くで、大きな蜘蛛のものと思われる足跡(まだ時間がたっていない出来たばかりの足跡)をラヴィリーナが発見する。 ラヴィリーナ「ジャイアント・スパイダーみたいな足跡があるわ。まるで、何かから逃げているみたい」 足跡はあちこち動き回り、時には壁に登るなどして、そのクリーチャーが急いで移動していた事を示している。 アルウィン「追いかける側の足跡がないって事は、飛行クリーチャーに追いかけられていたのかもしれないな。行ってみよう」 一行が、足跡を追跡していくと、奥から男女の話し声(エルフ語)が聞こえてくる。 アルウィン「エルフ語の話し声だ」 バンブル「このヘルメットのおかげでオイラにもエルフ語がわかるぞ。どうやら、仕留めた獲物をどうするか議論しているみたいだ」 バンブルはヘルム・オヴ・コンプリヘンド・ランゲージズ・アンド・リード・マジック(翻訳の兜)を装備しているのであらゆる言語が理解できる。 奥に行くとエルフの男が獲物(変わった巨大蜘蛛)を踏んづけながら、女と話している。 その近くに2人の乗騎と思われる2体のスパイダー・イーターが待機している。 どうやら、大きな蜘蛛はスパイダー・イーターの毒によって麻痺しているようだ。 ________________________ 【スパイダー・イーター】大型サイズの魔獣 この野獣は、1対の小さな前脚、コウモリのものに似た大きな翼を持った、2本脚の大きなスズメバチに似ている。 スパイダー・イーターはそのいやらしい外見にふさわしい性質を持っている。それにも関わらず、彼らは空飛ぶ乗騎として珍重されている。これに騎乗した山賊の一団は実に恐るべきものとなる。このクリーチャーの名前は、蜘蛛の巣をものともしないその能力と、麻痺させた大きなクリーチャー(しばしば大グモの類)の身体に卵を産みつける習性からきている。 スパイダー・イーターは体長約12フィート(約3.6m)、体高約4フィート(約1.2m)、そしてその翼を広げた幅は約20フィート(約6m)である。その体重は約4,000ポンド(約1,800kg)である。 (D&D第3.5版モンスター・マニュアルより) ________________________ ラヴィリーナ「あの大きな蜘蛛はアレイニアだわ」 アレイニアは怯えながら一行に救いを求める視線を送ってきている。 ラヴィリーナは直感的にそのアレイニアが悪者ではないように感じられた。 ________________________ 【アレイニア】中型サイズの魔獣(変身生物) そのクリーチャーはモンストラス・スパイダーに似ているが、大顎の下に人間じみた2本の小さな手がついている。 アレイニアは、変身能力を持つ知性ある蜘蛛で、ソーサラーに似た魔法の力を持つ。アレイニアの生来の形態は大きなスパイダー(蜘蛛)に似ている。背中にこぶのある胴体は人間の胴よりやや大きいくらい。ふつうの蜘蛛と同じように、牙の生えた大顎を持っている。大顎の下には長さ2フィートほどの小さな腕が2本生えている。腕の先についた手には、多関節の指4本と、二重関節の親指1本がある。 アレイニアの体重は約150ポンド(約70kg)。アレイニアの脳は、背中のこぶの中にある。 アレイニアは共通語と森語を話す。 (D&D第3.5版モンスター・マニュアルより) ________________________ エルフの男女は一行を見るや、挨拶をしてくる。 エルフの男「やあ、これは冒険者の方々。私はキムメル、旅のバード(吟遊詩人)です。こちらが、旅路の神ノズィロフのクレリックの・・・」 エルフの女「セルラです。私達の乗騎(スパイダー・イーター)のための餌(蜘蛛)を手に入れたのですが、どうやって分けたものか話していたところです。あなた方は?」 アルウィン「エクルの寒波の原因を調査しに来た者です。あの、そのアレイニアを解放してもらえないでしょうか?知的生命体が目の前で食べられるのを黙って見過ごす事ができないんです」 キムメル(エルフ、バード7)「ははは、たかが、こんな蜘蛛1匹に同情する理由がよくわからないが、まあいいでしょう。ウチのスパイダー・イーターはグルメだからね。このような化け物を食べさせるのは忍びなかったんですよハハハ」 セルラ(エルフ、クレリック7)「こうして出会ったのも何かの縁です。この奥へ行くのでしたら同行いたしますわ」 フィースはそんな2人組の言葉と表情から悪意を察知し、この者達は信用できないと考え、さりげなくパラディンの特殊能力:ディテクト・イーヴル(邪悪の感知)を発動させる。 案の定、この2人組のエルフは悪の属性を持っている事がわかった。 フィース「ご協力の申し出はありがたいのですが、結構です。この調査はかなりの危険を伴う可能性がありますゆえ、ここは我々にまかせてあなた方はもう戻られたほうが良いでしょう」 キムメル(エルフ、バード7)「ははは、さすがパラディン殿、勇敢でらっしゃる。ですが、くれぐれも無謀と勇気を履き違えることのなきように。では我々はこれで・・・」 セルラ(エルフ、クレリック7)「あなた方に、旅路の神ノズィロフのご加護がありますように」 2人組みはスパイダー・イーターに騎乗すると入口の方へ去って行く。(と見せかけて実は一行の後をつける気でいる) ラヴィリーナ「今、怪我を治してあげるね。痛いの痛いの飛んで行け〜♪」 ラヴィリーナがワンド・オヴ・キュア・ライト・ウーンズ(軽傷治癒の魔法のワンド)を2チャージ使い、アレイニアを介抱してやると、アレイニアは変身能力で人間の姿になり、お礼を述べてくる。 アレイニアが変身した女「ありがとうございます。私はニアと申します。実は今まで、正体を隠して人間の姿のままエクル村で生活していました。村人達とも仲良くなり、ここでずっと平穏に暮らしていこうと思っていたのですが、突然の寒波で村の作物が重大な被害を受けてしまったのです。そこで原因調査のために単身乗り込んできたのですが、急にあの2人組に襲われまして・・・」 ラヴィリーナ「寒波の件はあたし達にまかせて」 ニア「このご恩は一生忘れません」 そう言うとアレイニアは洞窟の入口に向かって歩き出す。 一行が洞窟の奥に進もうとすると、入口に戻ったはずのアレイニアが叫び声をあげながらこっちへ走ってくる。 ニア「ひぃぃ!た、助けてください!またあの者達が!」 アレイニアの後ろからスパイダー・イーターに騎乗したセルラとキムメルが追いかけてくる。 キムメル(エルフ、バード7)「待て待て〜、姿を変えても無駄だぞ!ハハハ」 セルラ(エルフ、クレリック7)「おとなしくスパイダー・イーターの餌におなり!」 バンブル「なんだなんだ!あの二人、帰ったんじゃなかったのか?」 フィース「どうやらずっと我々の隙を伺っていたようだな」 実はキムメルとセルラは一行から少し離れたところで強化魔法である ブルズ・ストレンクス(雄牛の筋力)やベアズ・エンデュアランス(熊の耐久力)、ディヴァイン・パワー(信仰の力) などの呪文をかけて戦闘準備を整えていたのである。 そして今、ここぞとばかりに襲いかかってきた。 キムメルはバード呪文のチャーム(魅惑)を、セルラはクレリック呪文のホールド・パースン(対人金縛り)をかけてくるが、ブレイブ・カルテット一行には全く効果がなかった。 アルウィン「その程度の魔法、俺達には通用しない!」 アルウィンの薙ぎ払いの活躍で楽に悪のエルフ達を撃退する。 戦いに敗れたキムメルとセルラは気絶昏倒した状態で、まだ死んではいない。 一行は2人の身ぐるみを剥ぎ、縛り上げて、「洞窟の奥を調査してきた後で解放してやる」と言って先へ進むことにした。 キムメルとセルラがそれぞれ1本ずつ持っていたポーション・オヴ・キュア・ライト・ウーンズ(軽傷治癒の魔法の薬)は、アレイニアにあげた。 宝物合計:8034gp、8sp、5cp相当。 奥に進むにつれ、どんどん寒さが増してくる。 やがて、大きな鍾乳洞に出る。 そこには、大きな白い狼とポーラー・ベアと3体のメフィットが待ち構えていた。 バンブル「真っ白な狼だ。しかもめちゃくちゃでけえ・・・」 アルウィン「あれは魔獣ウィンター・ウルフだ。冷気のブレスを吐いて来るぞ!」 ________________________ 【ウィンター・ウルフ】大型サイズの魔獣(冷気) このクリーチャーは氷のように青い目をもった巨大な白い狼のようである。その体高は馬ほどもあり、その吐息は冷気で白く煙っている。 ツンドラや他の寒冷な地域の危険な肉食獣、ウィンター・ウルフ(冬狼)は容赦なく餌食を追い詰める。彼らは獲物をしとめるまで、追跡行をあきらめることはほとんどない。 ウィンター・ウルフはより小柄な同族よりも知的であり、時として、同じ寒冷地域を住みかとする他の邪悪なクリーチャー、たとえばフロスト・ジャイアントなどの仲間になり、斥候や狩人、追跡者として仕える。ウィンター・ウルフは体長約8フィート(約2.4m)、体高約4.5フィート(約1.4m)まで育つ。その体重は450ポンド(約200kg)ほどである。ウィンター・ウルフは巨人語と共通語を話す。 (D&D第3.5版モンスター・マニュアルより) ________________________ 【ポーラー・ベア(北極熊)】大型サイズの動物 この長く、体の締まった肉食動物はブラウン・ベアよりも若干身長が高い。 (D&D第3.5版モンスター・マニュアルより) ________________________ 【アイス・メフィット】小型サイズの来訪者(風、他次元界) この翼あるクリーチャーは雪と氷でできたミニチュアの人間のような姿をしており、透き通った肌をしている。 アイス・メフィット(氷メフィット)は風の元素界出身である。アイス・メフィットは冷たくよそよそしい態度をしている。身長4フィートほど(約120cm)、体重は30ポンドほど(約13.6kg)である。アイス・メフィットは共通語と風界語を話す。 (D&D第3.5版モンスター・マニュアルより) ________________________ 【エア・メフィット】小型サイズの来訪者(風、他次元界) この翼あるクリーチャーは背の低い、雲のように白い人間のような姿をしている。脚のあるべきところは旋風となっている。 エア・メフィット(風メフィット)は風の元素界出身である。エア・メフィットは身長4フィートほど(約120cm)、体重は1ポンドほど(約450g)である。エア・メフィットは共通語と風界語を話す。 (D&D第3.5版モンスター・マニュアルより) ________________________ 【ダスト・メフィット】小型サイズの来訪者(風、他次元界) この翼あるクリーチャーは灰色の薄片状の皮膚をして悲しみの表情を浮かべた、背が低くやせ衰えた人間のような姿をしている。 ダスト・メフィット(塵メフィット)は風の元素界出身である。ダスト・メフィットは身長4フィートほど(約120cm)、体重は2ポンドほど(約900g)である。ダスト・メフィットは共通語と風界語を話す。 (D&D第3.5版モンスター・マニュアルより) ________________________ ウィンター・ウルフとメフィット達が一斉にブレスを吐きかけてきたが、バンブルは特殊能力:身かわしで見事によけてノーダメージ。 バンブル「あらよっと!どこ狙ってんだ?」 フィースと愛馬プラックはそれぞれの種族的特徴、アアシマールとセレスチャルの特殊能力: [冷気]に対する抵抗でダメージを軽減した。 フィース「この程度の冷気、僕達の身体にはどうってことはない」 アルウィン「これ以上ブレスは吐かせないぞ!」 アルウィンは、特技:強打を込めた薙ぎ払いでメフィット達を切り倒す。 ラヴィリーナ「あの白クマさん、敵意はなさそうだわ」 ポーラー・ベア(北極熊)は態度が『敵対的』ではなく、あくまで『非友好的』なだけだったので、ラヴィリーナがレンジャーの『特殊能力:野生動物との共感』を発動しておとなしくさせた。 ラヴィリーナ「白クマさん、私達はあなたと友達になりたいの」 残るウィンター・ウルフはもはや追いつめられたネズミも同然。 一行は勝利した。 さらに奥に進んで行くと、地面に大型サイズのドラゴンと思しき足跡を発見する。 足跡は大広場の方へ通じているようだ。 アルウィン「竜殺しの魔剣『シャルクガルド』がかすかに光を放ち始めたぞ!」 バンブル「オイラの巨人殺し『ビーンストーク』もだ!」 フィース「この先にドラゴンとジャイアントがいるということか。ドラゴンと正面から切り結ぶであろうアルウィンにレジスト・エナジー[冷気]の呪文をかけよう」 アルウィン「ありがたい。ドラゴンは俺に任せてくれ。モア・ロール・コン・ウォーセス・・・」 アルウィンがシールド(魔法の盾)の呪文を唱えると、目に見えない魔法の力場が現れる。 白猫アルト「にゃにゃにゃー(ラヴィ、レジスト・エナジーのポーションを飲んでおいた方がいいよ)」 ラヴィリーナ「うん、わかった。アルトはバッグの中に隠れてて(冷気エネルギーへの抵抗力ポーションを飲む)」 次のページへ ページ: 1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 『運命の風』(Wind of Fate)ギャラリー へ戻る |