『運命の風』(Wind of Fate)第六話へ戻る ページ: 1/ 2/ 1ページ目D&D3.5edキャンペーン『Wind of fate外伝』【キャラクター】 ____________________________________ チャム・ティーリーフ 種族:ドリック族 ドリックの貴族の娘。 現在は大都市エニラマルトルのティーリーフ邸の主で、イクス村の孤児達を養っている。 ____________________________________ ディーネ(13歳)、種族:ハーフエルフ 5人の子供達の中で最年長の女の子。 いつも進んで家事手伝いをしている。 同じハーフエルフであるアルウィンを慕っている。 ____________________________________ ビリー(12歳)、種族:人間 5人の子供達の中で兄貴分を気取っている。 一つ年上の女の子ディーネとはよく意見が対立し、口喧嘩するが、実は密かに想いを寄せている。 ____________________________________ トレイシー(9歳)、種族:人間 おとなしい性格で少し引っ込み思案。 本を読むのが大好きで、将来は、魔法使いになりたいと考えている。 ____________________________________ ジャン(7歳)、種族:人間 背が低いため、小さくても強いバンブルに憧れている。 ____________________________________ メーラ(5歳)、種族:人間 最年少の女の子。 お人形や小動物が大好きで、いつもぬいぐるみを抱っこしている(寝る時も一緒)。 ____________________________________ D&D3.5edキャンペーン『Wind of fate〜外伝〜』 第6.5話 『チャムとアン』 話は少し遡り、レッド・ドラゴン“フレイムスケイル”を倒してから3日後の事。 アルウィンとラヴィリーナとチャムは、子供達に読ませる本を借りるため、ディーネとトレイシーとメーラを連れて、エニラマルトルの大図書館へ行くことにした。 その間、ビリーとジャンはバンブルと一緒にティーリーフ邸の庭でスリングの射的ゲームをして遊んでいる。 ―ティーリーフ邸の庭― ビリー「くそ〜また負けた〜」 バンブル「とは言っても、なかなか良い線いってるじゃないか。こりゃあオイラの連勝記録も危なくなってきたかな(笑)」 ビリー「へへ、でもバン兄にはまだまだ全然かなわないよ」 ジャン「よお〜し、次はおいらの番だぞ」 ―エニラマルトル大図書― 図書館では眼鏡をかけた司書見習いのアンが高い所の本を取ろうとして梯子を上っている。 アン「え〜と、これとこれと・・・あっ」 突然バランスを崩し、いくつかの本を巻き添えに落下する。 アルウィン「おっと!大丈夫かい?」 落下して来たアンをとっさに受け止め、ゆっくりと下ろす。 アン「あ、はい。おかげさまで助かりました。なんとお礼を言ってよろしいのやら・・・」 メーラ「アルにいちゃんすご〜い(興奮して白猫アルトをぎゅっと抱きしめる)」 白猫アルト「ニャーッ!(苦しい!そんなに強く抱きしめないで!)」 ラヴィリーナ、チャム、ディーネ、トレイシーは散らばった本を拾い集め、アンに手渡す。 チャム「どうぞ」 アン「あ、ありがとうございます」 そんなこんなでアンはティーリーフ家の皆と知り合った。 アンは童話や、絵本などに詳しく、トレイシーやメーラが喜ぶ本をたくさん紹介してくれた。 ________________________ アン 種族:人間 クラス:ウィザード3 特技:イニシアチブ強化、近距離射撃、精密射撃 特殊能力:使い魔の招来(イタチ『ノロイ』) 言語:共通語、竜語、天上語(セレスチャル)、地獄語(インファーナル)、奈落語(アビサル) 装備:スタッフ、ダガー、スリング、スリング・ブリット×8、リング・オヴ・サスティナンス 所持品:学者の服、ヒューワーズ・ハンディ・ハヴァサック、背負い袋、ベルトポーチ、呪文構成要素ポーチ、水袋、携帯用寝具、火打石と打ち金、そろばん、巻物入れ、3レベル・バーニング・ハンズの巻物×3、3レベル・マジック・ミサイルの巻物×2、錬金術の火×3、消えずの松明、ポーション・オヴ・キュア・ライト・ウーンズ 呪文書: 0レベル呪文― 全て 1レベル呪文― カラー・スプレー、グリース、コンプリヘンド・ランゲージズ、シールド、スリープ、バーニング・ハンズ、フェザー・フォール、マジック・ミサイル、メイジ・アーマー 2レベル呪文― ミラー・イメージ、ノック トラボクの村からフィースやジェンナと共に大都市エニラマルトルにやって来た魔法使い。 本を読むのが大好きで、今はエニラマルトルの大図書館で、アルバイトをして生活している。 知識は豊富だが、おっとりしているためか、あまり知的なイメージがない。 使い魔はイタチのノロイ君。 ノロイ 種族:イタチ クラス:ファミリアー(使い魔) ________________________ ―ティーリーフ邸の庭― その日の夜、ティーリーフ邸にアンを招待する。 ちょうどフィースもティーリーフ邸に来ていて、2人は久々に再会する。 エニラマルトルに来てすぐ、アンが司書見習いになったため忙しくなり、約一ヶ月間会っていなかった。 フィース「やあ、久しぶりだね。アン」 アン「フィースさんが、チャムさん達とお知り合いとは、想定外でした」 アンは、チャム達と一緒に食事をし、イクス村での出来事を聞き、そのあまりにも悲劇的な話に涙をぽろぽろと流した。 メーラ「(アンの靴下が左右違うのを見て)アンねえちゃん、どうして靴下ちがうの?」 アン「(眼鏡をいじりながら)左右非対称の靴下は魔女ルックのセオリーなんです」 トレイシー「あ、それ知ってる。この本にもそう書いてあるよ。ほら(魔女の絵本を開いて皆に見せる)」 皆で本を覗きこむ。 バンブル「あ、ほんとだ。へえ〜」 メーラ「メーラちゃんも、まほうつかいたい。靴下ちがうのはけばつかえる?」 アン「え〜と、いきなりは・・・難しいかもですね。でもメーラちゃんが、いっぱいお勉強すれば、きっと素敵な魔法使いになれると思いますぅ」 メーラ「メーラちゃん、まほうつかいになる〜」 その後、アンとラヴィリーナは魔法使い同士で魔法の話をする。 アン「ラヴィリーナさん、使い魔とお話ができるんですか?」 ラヴィリーナ「うん、ついこの間、突然アルトの声が聞こえるようになったの」 アン「私も早く、使い魔のノロイ君とお話ができるようになりたいですぅ〜」 そうして楽しい時間が過ぎていった。 フィース「じゃあ、僕はアンを送って行くよ」 アン「今日は本当にどうもありがとうございました」 チャム「またいつでも遊びにいらしてください。子供達も喜びます」 それから2日が過ぎたある日、市場でチャムとアンがばったり出会う。 チャム「アンさん。こんにちは」 アン「あ、チャムさん、そのせつはどうも」 アンは今日は図書館のアルバイトがお休みだという。 アン「私の家、すぐそこなんです。何もない所ですが、どうぞお茶でもいかがですか?」 チャム「ではお言葉にあまえさせていただきます」 二人は料理の話などで盛り上がり、2時間ほど話し込んでしまった。 それからお互い、ちょくちょく会っては井戸端会議をしたり、チャム、アン、ラヴィリーナ、ディーネ、トレイシー、メーラで集まってお茶会をしたりもした。 チャムとアンが先生となって作法を教える。 ラヴィリーナ、ディーネ、トレイシー、メーラは生徒。 そんなある日、バンブル、アルウィン、ラヴィリーナ、フィースがバグベア退治のために、ドリック族の村へ出かけている時の事である。 (『Wind of fate』第6話『忍び寄る邪悪の影』参照) ―ティーリーフ邸― ティーリーフ邸に慌てた様子のアンがやって来た。 玄関でディーネが出迎える。 ディーネ「アンさんこんにちは、どうしたんですか?」 アン「あ、ディーネちゃん、想定外の事態が起きまして、アルウィンさん達にご相談したいことがあるんです」 ディーネ「チャムお姉ちゃんを呼んできます」 チャムがやってきてアンの話を聞く。 チャム「まあ、それは大変!」 アンの家の地下にグール(食屍鬼)が現れたので、扉を閉めて逃げてきたのだという。 アンはこの街ではフィースとティーリーフ邸の人達以外に親しい友人がいないため、真っ先にここ、ティーリーフ邸に来たのだ。 (フィースがいる聖ナビアス教会は、アンの家からもっと遠い)。 バンブル、アルウィン、ラヴィリーナ、フィースは今バグベア退治に出かけてしまっている。 ここはチャムが頑張るしかない。 チャム「ディーネは兵士団隊長のガレンさんにこの事を知らせてちょうだい。私は化け物が街に出ないようにくい止めるわ!」 アンはこの街では新参者である。 しかもウィザード(魔女)であるため、アンの事を胡散臭い目で見ている人達も少なくない。 そんなアンの家からアンデッドが出たなどという事が世間に広まったら、ネクロマンサー(死霊術師)の疑いがかけられ、アンはこの街にはいづらくなる。 兵士隊長のガレンは今は亡きマサラ・ティーリーフ卿(チャムの父)の友人で、チャム達の良き理解者である。 彼ならば、この事態をできるかぎり穏便に済ませるように協力してくれるに違いないと考えた。 チャムは武具を取り(毎日稽古をかかしていないのでいつでもすぐに装備可能)、アンと共に家に向かった。 ―アンの家、地下室の扉― 扉の向こう側からグールが叩いており、今にも扉の蝶番が壊れそうになっている。 チャムとアンが身構えているとついに扉の蝶番が壊れ、グールが姿を現した。 ________________________ 【グール】中型サイズのアンデッド このおぞましいクリーチャーは、人型生物のような姿はしているものの、その肉は死斑が浮かんでしなび、ありありと浮き出た骨格に貼りついている。体毛はほとんどなく、口には肉食獣のような鋭い歯が生えている。目は、落ちくぼんだ眼窩の奥で、灼熱した石炭のようにあかあかと燃えている。 グール(食屍鬼)は腐肉に飢えており、墓場や戦場など、腐肉の多いところを徘徊する。この恐るべきクリーチャーは、屍臭の立ちこめる場所ならどこにでも現われ、不用心な生者をも好んでむさぼり食う。 生きながら人肉の味をおぼえた男や女が死ぬと、それがグールになるのだと言われている。真偽のほどは定かでないが、グールの人肉食というおぞましいふるまいにはこれで説明がつく。人並みはずれた遊蕩と邪悪の行ないをなす者はみな、グールになってしまう危険を冒しているのだと、そう主張する者もいる。生命あるものから忌まわしい夜の存在への変容によって、グールの精神は歪み、狡猾で狂暴なものとなった。 グールは生前と同じ言語(普通は共通語)を話す。 (D&D第3.5版モンスター・マニュアルより) ________________________ チャム「アンさんは下がっていてください!」 チャムのショート・ソードがグールの胴体に命中する。 アン「援護はまかせてください。ウォー・マグ・ファ・ド・ウル・アクト・アーツ!」 アンの指先から2本のマジック・ミサイルが発射され、グールを撃つ。 グールは手傷を負いながらもひるまずに反撃してくる。 グールの噛みつきと爪の連続攻撃をチャムは見事にかわし、斬り返しの一撃を繰り出し、グールを倒した。 チャム「どうしてグールがこんなところに・・・(地下室を見回す)あっ!壁に大きな穴があいてるぅ〜っ!?」 穴の向こうは20フィート(約6m)四方の部屋になっている。 アン「そんな!・・・想定外です」 このまま、ガレン隊長が来てくれるのを待っているのが最善なのかもしれないが、チャムは友人のピンチを目の前にして、黙って見ていられるほど大人ではなかった。 チャムは今のうちに調べておけば、ガレン隊長達に余計な手間をかけさせないで済むかもしれないと考えた。 チャム「ちょっと調べて来ますね」 今の自分に、少しでも出来る事があるのなら、全てやっておきたい。 チャムはその一心で、地下室の穴から向こう側へ入る。 アン「待ってください!私も行きます!」 地下室の壁が壊れた原因はすぐにわかった。 崩れた壁のそばに壊れた箱があり、何かが爆発した痕があったのだ。 その近くにはめちゃくちゃに引き裂かれたタペストリーが2枚(実はこれらは布製の超小型アニメイテッド・オブジェクトである。グールに引き裂かれ、もはや動く事はない)と先ほど戦ったのとは別のグールの死体(アンデッドで死体という言葉は変だが、とにかく動かなくなったグールのこと)がある。 箱の爆発の近くにはいくつかの宝石が落ちている。 チャム「これは・・・トラップ?」 チャムは前回、立ち入り禁止の坑道にあった大きな箱に仕掛けられていたバーニング・ハンズの罠で火傷した事を思い出す。 (『Wind of fate外伝』第5.5話『チャムの冒険』参照) アン「(眼鏡をいじりながら観察する)・・・のようですね」 この部屋の出口は2つある。 一つはチャムとアンが入ってきた穴、もう一つはその正面にある出口である(本来は隠し扉だったのだが、すでに開いている。実はグール達が開けて入ってきたのである)。 出口の外は下水道に繋がっている。 そのためか出口付近は苔だらけである。 そしてその苔だらけの出口のすぐそばにも箱が一つある。 アン「なるほど、わかりました。この部屋は下水道に隠された隠し部屋だったようです。そして、下水道からやって来た2体のグールがこの部屋の中に入ってきて、罠の箱を開けてしまい、その爆発で壁に穴が空いたというわけです」 チャム「でも何故グールが下水道に?」 アン「これは調べてみる必要がありそうですね」 2人は苔だらけの元隠し扉のそばにある箱を覗き込む。 チャム&アン「(箱を見ながら)あやしい・・・ですね(2人で顔を見合わせる)」 チャム「この箱は、バンブルが帰ってきたら見てもらいましょう」 アン「そうしていただけると助かります」 2人が、箱をそのままにして、扉を抜けて下水道を見ようとした途端、出口付近の苔でアンが滑って転んでしまう。 そのまますぐそばにあった箱の上に倒れる。 それにより、今度は箱に仕掛けられていたファイアー・トラップ(火の罠)が作動する。 BOMB!! アン「きゃあぁっ!」 チャム「アンさん!大丈夫ですか?」 アン「あつつつつ・・・想定外です〜(TT)・・・あら?箱の中にダガーがあります。もしかして・・・(呪文の詠唱を始める)ウォー・モア・オズ・ド・マグ・ファ・・・」 アンはディテクト・マジック(魔力感知)の呪文を唱えた。 アン「やはり・・・このダガーは魔法の武器です。人間用のサイズですが、この先を探索するさいに役に立つかもしれませんので、今はチャムさんが持っていた方が良いと思います」 チャム「え、そのお身体でこの先を探索するんですか?あまり無理はしない方が・・・」 アン「いえ、大丈夫です。この程度の怪我は想定の範囲内です」 そう言いながら、ポーション・オヴ・キュア・ライト・ウーンズを袋から取り出して飲む。 先程の火傷の痕がみるみるうちに癒されていく。 アンはこの時、以前フィース達と一緒にした冒険の事を思い出していた。 当時は冒険なんて怖いだけで、好きではなかったが、そんな体験も今思えば非常にためになる人生経験だったと思う。 もちろん、ビズィおぢさんの尊い犠牲は悲しかったが、彼の勇姿はあの場にいた皆の心に焼き付いて、いつまでも生き続けるだろう。 今、体験している事も、後できっと自分にとってプラスの経験になる。 そんな気がしてきた。 もしかすると、先ほどのグールとの戦いの興奮が、アンの中に眠っていた冒険心を呼び覚ましたのかもしれない。 チャム「(渡されたダガーを振ってみる)このダガー、私の手には少し大きいけど、なんだか軽いようで力強い不思議な感じがするわ。これが魔法の武器の力なのね」 チャムの身近にあった魔法武器といえば、バンブルの『巨人殺し』やアルウィンの『竜殺し』があるが、どちらも大きくて重いので、触れたことはあっても振った事はなかった。 チャムとアンは魔法の+1ダガーと、1245ゴールド相当の宝石類を入手した。 次のページへ ページ: 1/ 2/ 『運命の風』(Wind of Fate)ギャラリー へ戻る |