『運命の風』(Wind of Fate)第一話へ戻る ページ: 1/ 2/ 3/ 4/ 1ページ目D&D3.5edキャンペーン『Wind of fate』回想〜ラヴィリーナ幼少期〜 ―トニムの森にあるイスリルル族の集落― 小動物を抱きかかえながら走ってくる幼女ラヴィリーナ。 ラヴィリーナ(幼児)「ろりねぇ、ただいまぁ」 ローリエリーナ「おかえりなさい、ラヴィ。あら?(ラヴィリーナが抱えている小動物に気づく)」 ____________________________________ ローリエリーナ・イスリルル 種族: エルフ(イスリルル族) クラス: レンジャー/ソーサラー/アブジュラント・チャンピオン 好きなもの: レモンパイ ラヴィリーナの姉。 妹を溺愛し、甘やかしすぎる傾向がある。 自然を守る野伏(レンジャー)にして、秘術呪文の使い手(ソーサラー)である彼女の実力は、両親を凌ぎ、現在イスリルルの集落最強の戦士である。 ____________________________________ ラヴィリーナ(幼児)「みてみて。うさたんのあかたんいたよ。おみみまだちっちゃいの」 ローリエリーナ「まあ、かわいい。うふふ、でもこのコはうさぎさんじゃなくて、猫さんっていうのよ」 ラヴィリーナ(幼児)「ねこさん?」 ローリエリーナ「うん。猫さんはうさぎさんと違ってお耳が大きくないの。でもうさぎさんよりも尻尾が長いのよ。このコはラヴィと一緒でまだ小さいから子猫ちゃんね」 ラヴィリーナ(幼児)「こねこたん?」 ローリエリーナ「そう、子猫ちゃん」 ラヴィリーナ(幼児)「(抱きかかえている子猫に向かって)こねこたんこんにちは。あたし、らびゅいな、いしゅるるる(『ラヴィリーナ・イスリルル』と言っているつもり)」 ローリエリーナ「そろそろおやつにしよっか。ラヴィの大好きなアップルパイよ」 ラヴィリーナ(幼児)「らびゅいあぷゅぱいちゅき」 ローリエリーナ「さあ、ラヴィ、おててを洗いにいきましょう」 ラヴィリーナ(幼児)「は〜い。あぷゅぱい、あぴゅ〜ぱい!♪」 翌日 イスリルルの集落にノームの女性がやってくる。 ____________________________________ 【ノーム】小型サイズの人型生物 ノームとは身長約90〜105cmで、動物と美しい宝石、ありとあらゆるジョークを愛するイタズラ好きな種族である。 ____________________________________ ラヴィリーナ(幼児)「あっ、ちゅこねぇ」(走って行って抱きつく) “お茶目な”スコラル「お〜、らびたん、まいどホンマかわえぇーわ〜、ええーコしてた?」(ラヴィリーナをなでなでする) ラヴィリーナ(幼児)「うん」 ____________________________________ “お茶目な”スコラル 種族: ノーム(ロック・ノーム) クラス: ローグ/バード/ウォー・チャンター 好きなもの: ポテトパイ ローリエリーナの親友。方言でしゃべる癖がある。(ただの趣味) ラヴィリーナにとっては、いつも可愛がってくれる優しい近所のお姉さん的存在。 スコラルの名前は、ノーム語で、芸術、工芸、知識、賢い、の意味を持つ。 “お茶目な”は、ノームではわりと一般的なニックネームである。 ____________________________________ ローリエリーナ「スコラル、遅かったじゃない」 スコラル「いやあ、ナムフードゥルのヤツがケチケチしよって、交渉に手間取ってもうたんよ」 ____________________________________ ナムフードゥル・エールたぷたぷ・ラウルノール 種族: ノーム(ロック・ノーム) クラス: エキスパート スコラルの知り合いの商人。 幅広い商品を取り扱っていて、スコラルとローリエリーナが冒険で得た戦利品などを買い取ってくれたり、逆にスコラル達の冒険に必要な物を仕入れてくれたりしている。 ____________________________________ スコラル「お?よう見たら、らびたん三日会わないうちに少し背ぇ伸びた?」 ラヴィリーナ(幼児)「らびゅいおっきくなった?」 スコラル「ちと前までは、(親指と人差し指で1〜2oの幅を作り)こないにちっさかったのに・・・ってぇ、アリンコか〜い!(独りボケツッコミ)」 ローリエリーナ「いくらなんでも三日で変わるわけないでしょ」 スコラル「せやけど、ウチの背ぇ抜くんはそう遠くなさそやな〜」 ラヴィリーナ(幼児)「うん、いっぱいたべておっきくなる」 それから十数年の時が経つ。 ____________________________________ ラヴィリーナ・イスリルル 種族: エルフ(イスリルル族) クラス: レンジャー/ソーサラー 好きなもの: アップルパイ ____________________________________ ―イスリルルの集落のはずれにある湖のほとり― 姉のローリエリーナが見守る中、一人前のソーサラー(生まれ持った魔法の才能で秘術呪文を使いこなすクラス)に成長したラヴィリーナが、使い魔を招来する儀式を行なっている。 ラヴィリーナ「お願い、来て」 光と共に白い猫がラヴィリーナの前に現れる。 白猫「にゃ〜」 ラヴィリーナ「はじめまして。あたしラヴィリーナ」 白猫「にゃー」 ラヴィリーナ「あなたの名前を考えたの。『アルト』っていうんだけど、気に入ってくれるかな?」 白猫「ニャー」 ラヴィリーナ「気に入ってくれたのね。嬉しい。これからよろしくね、アルト」 白猫アルト「ニャ〜」 ローリエリーナ「おめでとうラヴィ。素敵な白猫ね」 ラヴィリーナ「アルト、あたしのお姉ちゃんを紹介するね。」 ローリエリーナ「こんにちは、アルト。私はローリエリーナ」 白猫アルト「ニャ〜」 その日の夜 ―イスリルルの集落、ラヴィリーナの家― ラヴィリーナ、姉のローリエリーナ、母のメルリーナ、父のエイルマーと一緒に夕食を食べている。 エイルマー(父)「私達も使い魔招来の儀式に立ち会いたかったよ」 メルリーナ(母)「ええそうね」 ラヴィリーナ「えへへ、2人をびっくりさせようと思って前からお姉ちゃんと計画してたんだ」 メルリーナ(母)「使い魔に猫を選んだのはどうして?」 ラヴィリーナ「猫には思い入れがあるの」 ローリエリーナ「うふふ、とくに白い猫にはね。まだラヴィが猫を知らなかった頃、この森では珍しい子猫を拾ってきて・・・」 白猫アルト「にゃっ?!・・・ニャーッ!」 (野生の本能が何かを察知したかのように、アルトが騒ぎ始める) ラヴィリーナ「どうしたの?アルト」 突然集落全体が騒がしくなる。 ローリエリーナ「何かしら?外に出てみましょう」 遠くの方から、魔物の大群が森を突っ切って、こちらへ向かって来ている。 大群を率いているのはドラウ(ダーク・エルフ)で、ゴブリンやオークといった人型生物が後に続き、その後ろには人間位の大きさの蜘蛛の集団や、オーガと呼ばれる巨人までいる。 集落のエルフ達は慌てふためいている。 ラヴィリーナ「お姉ちゃん、あれは何?」 ローリエリーナ「ダーク・エルフよ!あの数で攻めて来られたらこの集落はひとたまりもないわ!」 メルリーナ(母)「ローリエ、ラヴィ、あなた達はすぐに集落を出て逃げるのよ!」 ラヴィリーナ「お父さんとお母さんは?」 エイルマー(父)「私達はここの集落の守護者としての責任がある」 ラヴィリーナ「一緒じゃなきゃやだ!」 ローリエリーナ「ラヴィ、言うとおりにするのよ」 エイルマー(父)「ローリエ、頼んだぞ」 ローリエリーナ「うん」(両親をしっかりと見つめ、決意を固める) 集落を出て2日間、ラヴィリーナとローリエリーナは森の中を逃げ続けた。 途中、ダーク・エルフの仲間と思しきモンスターに何度も遭遇し、必死で戦いながら切り抜けてきた。 ラヴィリーナ「ロリ姉・・・お父さん達、大丈夫かな・・・ねえ、スコ姉のところは?」 ローリエリーナ「・・・あの様子ではスコラルの集落も同じく襲撃を受けているかもしれない」 ラヴィリーナ「・・・どうして、こんな事に・・・」 ローリエリーナ「ラヴィ、しっかりして・・・どんな時でも決してあきらめちゃダメ」 ラヴィリーナ「・・・ロリ姉・・・」 白猫アルト「ニャーッ!」 アルトの鳴き声に2人は緊張感が走る。 周りをかなりの数の敵達に囲まれているようだ。 ローリエリーナ「いい?今からお姉ちゃんがインヴィジビリティ(透明化)の魔法をかけるわ。物音を立てずに敵をかいくぐって逃げなさい。さあ、アルトを抱っこして、一緒に魔法をかけるから」 ラヴィリーナ「ロリ姉はどうするの?一緒に行くんだよね?」 ローリエリーナ「・・・もちろんよ」 ラヴィリーナ「(不安そうにローリエリーナの腕を掴む)じゃあ、ロリ姉にも一緒に魔法かけるんだよね」 ローリエリーナ「・・・うん。でも、すぐにじゃないわ。いくら姿が見えなくても物音や足跡は消せない。お姉ちゃんが、騒動を起こして敵を逆側に誘導するから、ラヴィはその隙に先に逃げて」 ラヴィリーナ「もうこれ以上離れ離れはいや!」 ローリエリーナ「大丈夫、ラヴィが安全なところまで逃げたら、お姉ちゃんも透明化してすぐに追いかけるから」 ローリエリーナはラヴィリーナに地図を渡す。 ローリエリーナ「この印の通りに逃げるのよ。まず最初に目指すのはスルーロード。ディープ・ノーム(地底ノーム)の集落よ。お姉ちゃんもその道を追いかける。大都市エニラマルトルに着くまでには、合流できるわ」 ラヴィリーナ「絶対?」 ローリエリーナ「こうみえてもお姉ちゃん、集落で一番強いのよ?お姉ちゃんを信じて」 ラヴィリーナ「絶対後で合流するって約束して。あたしロリ姉が言う事なら信じるから」 ローリエリーナ「大丈夫。だってお姉ちゃん、ラヴィを守るってお父さんお母さんと約束したんだから。ね?」 ラヴィリーナ「あたしと約束して!」 ローリエリーナ「・・・約束する。だからラヴィもお姉ちゃんと約束して。絶対に敵に捕まらずに逃げ切るって」 ラヴィリーナ「うん!約束する!」 ローリエリーナ「さあ、魔法をかけるわ。ラヴィ、イスリルル族の乙女として、誇り高く生きるのよ」 アルトを抱えたラヴィリーナの姿が透明になっていく。 次のページへ ページ: 1/ 2/ 3/ 4/ 『運命の風』(Wind of Fate)ギャラリー へ戻る |